
「ジャングルさん、これは今、どこに向かっているんですか?」
「……」
みなさん、こんにちは。大学祭実行委員会副委員長のYです。
僕は今、先輩副委員長のジャングルに連れられ、どこかに向かっています。
いつもは少し嫌になるくらいによくしゃべるジャングルさんですが、今日はあまりしゃべりません。
「折り畳み傘ってさ、ずるくない?」
そんなことないかもしれません。
「ずるいですか?あんまり考えたことないですけど」
「大阪教育大前からキャンパスの道ってさ、細いじゃん。横に3,4人並べばもう誰も通れなくなる。あれで通れなくて行きたい時間に行けないこと、あるでしょ。」
「確かに、授業終わりとかやと通りにくいことありますね。」
「日傘があるとさ、一人で使う横幅が増えるじゃんよ。そうなるとさ、日傘さえなければ通れたようなスキマが通れなくなっちゃうんだな。ありゃずるいよ。」
「いや別にずるくはないと思いますよ。」
「そっかあ~~。」
おかしい。ジャングルさんならここで話を終わらせるなんてことしない。いつもならここで屁理屈言いながらぐちゃぐちゃと話し続けるはずなのに…。

「ここ、来た事ある?」
「いや、きたことないですね。」

「まあそうか。俺も去年行ったきりやしな。」
「大阪教育大学大学祭実行委員会の副委員長にはな、毎年この時期になると次の代に対してやらないかんことがあるんよ。」
へぇ~~~。そうなんだあ…。
「俺はな。それを終わらせに来たんや。」

何かが取り出されるような気味の悪い音
ジャングルさんの方から気味の悪い音が聞こえてくる。何をしているの…?
「(咳のような何か)」

「これを……、。」

振り返ってきたジャングルさんがその手に握っていたのは、得体のしれない球体であった。
なんだあれ……

なんか副って書いてる……。怖……
ジャングルさんはふらつきながらこっちに向かって歩いてくる。あの人はいつも変な気持ち悪いことをしているが、今日のそれはいつもの流れを逸脱している。
思わず怖くなった僕は、振り返り逃亡を図る。

しかしながら、自身の足元に散らばっていた木屑に引っかかり、転倒してしまった。
「うう……。」
背後からジャングルの足音が不規則に鳴り、迫ってくるのが分かる。
逃げなければ。
逃げなければならないのに、体が起き上がらない。
ああ、もうだめだ…。

「副」と刻まれた球体がYの中に入っていく音
自分の背中からあんまり聞きたくない音が聞こえたタイミングで、僕は意識を失ってしまった。
うん….?
な、なんやこれは!?
(ジャングルをはじめとした歴代副委員長の記憶など)
知らない人のはずなのに….。僕はこれを知っている?
これはまさか、大阪教育大学大学祭実行委員会歴代副委員長の記憶!?
記憶があふれ出してくる音
わ、分かる…。全部わかる…!
ジャングルさんがやりたかったことは、これだったんだ
あれ、でも変だな…。
誰も、ジャングルさんがしたみたいに副委員長球を後輩に埋め込んでないぞ…?
いったいどうして…。

ここは…、さっきの…。

「ウ、ウグワアアぁァァぁ!!!」
「ジャ、ジャングルさん!?」

(様子が非常におかしくなってしまったジャングル)
「ウギィイィイヱァアァ!!!」

(大教の奥へ消えていくジャングル)
「ジャ、ジャングルさん…。」
こうして、ジャングルさんはどこかへ消えてしまった。まだ見つかってもいないらしい。
心配ではあるけれど、他の副委員長がしなかったことをしたということは、きっとジャングルさんのやったことには何か意図があったのだろう。
そう自分に言い聞かせながら、今日も実行委員会の仕事に励む。
何せ、僕は大阪教育大学大学祭実行委員会副委員長なのだから。
THE END….